2007,01,28, Sunday
あの『狼男とサムライ』(1984年・S59)の完全版を、ご好意で見せていただいた。
完全版といっても、残念ながら「天知茂のアフレコ版」が存在するわけではなく、日本人キャストが華麗にスペイン語を喋っている(=吹き替え)上に字幕がギリシャ語、という国際色豊かなバージョンで、日本でビデオ化された作品(=日本版と呼ぶことにする)よりも約20分ほど多くの映像が含まれているものである。追加シーンは狼男(バルデマル:ポール・ナッシー)がらみの部分が多いものの、天っちゃん演じる貴庵が夢の中で暴徒相手に立ち回るシーンがあったりで、少しばかり得をした気分になれる。 しかし特筆すべきはなんといっても音(BGM)。舞台がスペインの時には日本版と同じBGMだが、いざバルデマル一行がお江戸に着くと、越天楽のようないかにもガイジンさん好みのニホンの音色が(たとえシリアスなシーンでも)賑々しく奏でられていて、ちょっとしたカルチャー・ショックを受けること請け合いだ。 ・・・もっとも、エンディング曲が天っちゃんと池波志乃さんのデュエット「絆」(しかもフルコーラス)だという最大級の驚きが待ち受けていることは前にも書いたが( 「恋酒」参照)、貴庵の妹・茜(朝比奈順子)とバルデマルのラブラブな逢瀬シーンでもこのムード歌謡(もちろん歌の部分)が唐突に流れ始めるという、そのめくるめく選曲センスには正直脱帽(or脱力)。何もかもこじんまりとまとまっていた日本版よりもいろいろと楽しめる作品だった。 *後から日本版を見直したところ、「絆」のインストバージョンはこちらでも流れていたことが判明。つまりこれが例の「映画のために作った歌」と考えていいのかもしれない(でもその場合なぜ池波さんなのか、という疑問は残るのだが)。
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| 映画::松竹・他 | 01:09 PM | comments (x) | trackback (x) | |