2007,09,11, Tuesday
『女賭博師 花の切り札』(1969年・S44)
さすらいの女賭博師・大滝銀子(江波杏子)は、旧知の三田村組の代理としてシマと代紋を賭けた一戦で無残に敗退。なにしろ相手方の兼松(成田三樹夫)が立てたのは、クールで非情な凄腕賭博師・素走りの浅造(天知茂)だったのだから仕方がない。 師匠兼マネージャーの政吉(船越英二)と共に修行の旅に出た銀子はある晩、賭場荒らしに遭遇した。なんと彼らは三田村組の子分衆。例の一件で親分は自殺、その三回忌にのみ開催を許される「供養盆」の資金すらままならない状況に陥っていると聞かされた銀子は責任を感じて意気消沈。とうとう捕えられ殺されかけた彼らだが、その賭場の胴師だった浅造の配慮で、銀子が彼らの命と利き腕を賭けて再び浅造と手本引き勝負をすることに。結果は銀子が勝利し、子分衆の命は助かった。彼女は勝ちを譲ってくれた浅造に心の中で感謝する。 供養盆の資金捻出のため、銀子は日夜大奮闘。豪快な勝ちっぷりに、イカサマも辞さないと公言する夜泣きの半次(津川雅彦)に絡まれ勝負を挑まれたりもするが、居合わせた浅造に窮地を救われる。だがようやく資金の目処がついた頃、なんと兼松がイケズなことに供養盆当日に自分ちで高額を賭ける「金張り盆」をひらくという知らせが舞い込んだ。談判に向かった銀子は半次得意のイカサマに敗れ、おまけに不慮の事故で右耳の聴力を失ってしまう。 一方、金張り盆の胴師は浅造に決まっていたものの、彼の昔気質な潔癖さに嫌気がさしてきた兼松は、半次を後釜に据えてがっぽり儲けたいと考え、浅造にやんわりと病気にならねえかと提案。先代と生死を共にし、戦場で彼を看取って以来息子(=ミッキー)の支えになってきたつもりの浅造は、浅薄なボンにやりきれなさを感じながらもこれを固辞。同じころ、苦境の銀子を見かねたのか見切りをつけたのか、政吉(通り名は「早見え」)が訪ねてきたのを良いことに、兼松は浅造襲撃を指示。政吉は三田村残党を従えて浅造を襲い利き腕を刺すのだが、直後に兼松の子分たちが現れ返り討ちに遭って絶命した。 政吉を失った銀子は浅造を見舞い、彼から半次の“いかさま返し”のからくりを教わる。そして特訓を重ねること数日、半次が胴師を務める金張り盆に出向いた銀子は、見事彼のイカサマを打ち破った。半次はその場で斬殺され、責任者の兼松もまた親分衆からドスを手渡されて一巻の終わり。後日、晴れて三田村組の供養盆が行われた。後見人の浅造がクールに控える横で、銀子は胴師として盆を取り仕切るのだった。 *セクシーな痩身からバージョン・チェンジしかけている微妙な時期とはいえ(なんだかシーンごとに雰囲気が違ったりもして)、オブザーバー的ないいヒトを演じている天っちゃんに見惚れる作品。東映だったら死んでるキャラだが、大映なので助かったというべきか。…ところで通り名の「素走り」、時代劇ではたまに聞くが、どういう意味なのだろう? *ひたすらクールでかっこいい浅造さんだが、病院のシーンで「あんた、つくづくいかさまに弱いひとだねえ」と銀子に言ったときに眉が思いっきりハの字になったのがおかしかった。 *兼松の子分のひとりで政吉つぁんを刺してたのが、タロウ前の篠田三郎さん(こんな役もやってたのか)
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| 映画::大映(その他) | 01:04 PM | comments (x) | trackback (x) | |