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必殺仕掛人 #12
*前ブログ記事引用

天っちゃんゲストの「秋風二人旅」を観る。

京の元締め・白子屋の要請で京へ向かう途中の梅安(仕掛人:緒方拳)と彦造(小林・おやっさん・昭二)。背後から来た南町の鬼与力風のコワモテ侍(天知茂)を見て彦造が顔色を変えた。「あいつは20年前、女房と子供を殺したヤツだ!」たしかに悪そうな顔ではある。

ここで20年前の様子がプレイバックされる。畑でいちゃつく彦造夫婦を突如襲う浪人2名。舌をぺろりと出し、「ひぇへへへー」と笑いながら彦造を峰打ちして嫁さんをかっさらうのは確かに天っちゃんだ。ヤな奴オーラ満開で実に嬉しそう。

梅安がそれとなく探りを入れる(茶屋でわざとお茶を袴にかけて反応をみたりする)が、コワモテ侍・峯山又十郎は顔の割には人畜無害であることが判明。人違いじゃねえのかと問う梅安に彦造は猛反発。「あの顔だけは忘れようったって忘れることはできやしねえ!」いやまったくだおやっさん。

又十郎が京でコンタクトを取った相手を見て驚く梅安。それはなんと元締めの白子屋。実はその20年前のゴロツキ浪人・井坂惣市は又十郎の弟で、今は手下5人とつるんで京の鼻つまみ者になっているどうしようもない弟たちの抹殺を白子屋に頼んだのが又十郎だったのだ(それで梅安たちが呼ばれたらしい)。頼んでおきながらまだ躊躇している又十郎兄ちゃんは、もう一度弟に会って説得したいと申し出る。

古寺の境内で再会する真面目な兄とゴロツキ弟。ダブル天知で画面がやたらディープ。養子に行った又十郎兄ちゃんは気が弱く剣が滅法ダメらしいが、眼力で2~3人は軽く殺せそうな顔なのでとてもそうは見えないところがちとネック。性格がひんまがってしまっている弟(の演技はすこぶる上手い天っちゃんだ)が今さら言うことを聞くはずもなく、とうとう又十郎はずいぶん悩んだ末に弟殺しを決断する。

同じく京へ着いた仕掛人仲間の生真面目侍・左内(林与一)と共にゴロツキたちを順に殺めていく梅安。最後に残ったのは弟。左内さんとの一騎打ちでは、往年の時代劇映画のような緊迫感のある様式美が拝める。なにしろ監督は「斬る」「眠狂四郎 無頼剣」「座頭市物語」などの三隅研次。天っちゃんの退廃的なムードを引き出すのがとても上手い監督さんだ(たぶんこの監督さんだから「出る」と言ったんだろうな)。腕を切られてキッと相手を見据える目つき、ヨレヨレになってもまだ立ち向かっていくがむしゃらさがたまらなくいい。倒れたら枯れ葉がはらはら散る、滅びの美学。

事が済み、茶屋で再会する梅安と又十郎兄ちゃん。梅安は自分がその仕掛人だとほのめかす。青ざめた兄はその場で立ち尽くす。

最後の一言(仕掛人だとほのめかしたこと)は余計だったかもしれんなあと言う左内さんに梅安、「一番のワルはあのお侍だったような気がしますけどねえ」。
自分は手を汚さず、実の弟を殺めたからか。うーん、たしかに一番悪い顔してるけど(言うな)、その「悪さ(狡猾さ?)」がみえなかったので消化不良。天っちゃんかなり悩んでたけど、ズルさはなかったもんなあ。

依頼人と殺しの相手を兼ねている上(長いシリーズでそんなパターンは彼だけらしい)、入浴シーンまであったりして、とにかく天っちゃん好きにはたまらない一本だった。

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| TVドラマ(時代劇)::その他(ゲスト) | 12:46 AM | comments (x) | trackback (x) |
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