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雲霧仁左衛門 番組徹底ガイド
週刊平凡(1979年・S54年8月2日号)より記事引用
雲霧仁左衛門 番組徹底ガイド
悪徳豪商を次々と襲う神出鬼没の盗賊集団


【主な登場人物】

・雲霧仁左衛門=天知茂。盗賊・雲霧軍団の首領。有能な部下を組織して、天下の政道に徹底的に立ち向かう。盗みをしても血は一滴も流さないのが掟。
・木鼠の吉五郎=財津一郎。仁左衛門の右腕といわれる小頭。雲霧軍団の軍師で人情家。
・七化けのお千代=大谷直子。変幻自在で男を骨抜きにする凄腕の“引き込み役”。
・おみつ=池上季実子。お千代とおなじ“引き込み役”の美女。性質は底抜けに明るい。
・因果小僧六之助=江藤潤。子供のとき仁左衛門に拾われ、その恩義のため死ぬ覚悟で活躍。
・州走りの熊五郎=谷隼人。物心ついたときからの泥棒で、仕掛けやからくりの名人。
・黒猫のお松=ホーン・ユキ。雲霧軍団で料理と変装術を担当。
・山猫の三次=左とん平。軍団きっての手先の器用な男。
・富の市=荒井注。鍼灸の心得があり、軍団の情報係。
・安部式部=田村高広。雲霧と対決する火付盗賊改め方長官。
・山田藤兵衛=高松英郎。火付盗賊改めの筆頭与力。
・高瀬俵太郎=三浦洋一。激しく悪を憎む火盗改め方同心。
・岡田甚之助=穂積隆信。火盗改め方与力だが、雲霧側に情報を流す裏切り者。
・お京=宮下順子。火盗改め方の密偵として働く女スリ。

【雲霧軍団の大敵はヤブ蚊の攻撃とか】

徳川八代将軍吉宗の時代を舞台に、雲霧仁左衛門を首領とする盗賊集団が権力に挑戦、つぎつぎに悪徳豪商を襲って大金を奪うという神出鬼没の活躍を描く娯楽時代劇。
昨年、仲代達矢主演で映画化されてヒットしたが、原作は池波正太郎の同名小説。
ドラマでは、雲霧軍団と火盗改め方の二大組織の熾烈な対決を中心に、奇想天外な盗みのテクニックや女賊たちが織りなす妖艶な色模様が展開。
主役の仁左衛門を演じている天知茂は、芸能生活30周年を迎え「ぜひ記念になる作品にしたい」と語っている。

* * *

迫力満点だったのは、第2話に登場した仁左衛門の隠れ家炎上シーン。
神奈川県相模川近くに、500万円をかけて本格的セットを製作。
消防車4台が警戒するなかで撮影したのだが、火炎が吹き上げ、轟音とともに家が崩れ、2週間かけて作ったセットも、わずか40分で焼け落ちた。500万円があっという間に灰になったというしだい。

* * *

江藤潤と左とん平による、田んぼの中の格闘シーンが第5話に出てくるが、2人には撮影前日、ディレクターから「あすは覚悟してください」と通告。
その予告どおり、ある農家の田んぼを借りてのロケで、すさまじい格闘がくりひろげられた。
おかげで2人とも、泥だか人間だかわからないほど。農家の風呂でどうにか泥を洗い落したものの、2人は口をそろえ、「泥で死ぬかと思ったよ」

* * *

夜のシーンが多いため、夜間のロケがひんぱんだが、悩みのタネはヤブ蚊の襲来。殺虫剤で防衛しても、かいくぐって襲ってくる。
着物の上から刺すやら胸元から侵入して腹を狙われるやらで、被害続出。ドラマは雲霧軍団と火盗改めの死闘だが、撮影はヤブ蚊との“仁義なき闘い”というところ。

* * *

第7話から元ジャニーズの真家宏満がレギュラー入りするが、これを機会に、芸名を立花正太郎と改名。名付け親は原作者の池波正太郎さんで、傘屋の忠吉という役どころ。
ところで、スタジオに野良猫が迷い込み、だれがつけたか呼び名が《忠吉》。
それを知った立花、
「ぼくの役名と野良猫の名前がいっしょとは、かわいがられているのかバカにされているのかわからないですね」

【芸能生活30周年を迎えた天知茂】

天知茂は天下を揺るがす大盗賊役だが、
「無実の罪で追われた武家社会や権力に復讐するのが本当の目的。その心情は、ぼくのやった『非情のライセンス』の会田刑事と共通していると思っている。また、たとえ盗賊でも人間的魅力のある人物だけに、その面を強く打ち出すように心がけてやっています」

* * *

大谷直子は雲霧軍団の姐さん役。
「仁左衛門にひたむきな思いを寄せながら、そのいっぽうで狙いをつけた男はすべて籠絡してしまう。そして度胸がよくていさぎよい。お千代というのは、女の私から見てもほれぼれするほどで、その原作のイメージを裏切らないように、それこそ一生懸命です」

* * *

仁左衛門と対決する火盗改め方長官の田村高広は、
「盗みは許せないのだが、仁左衛門に対しては男としてのみごとさに共感していく。いわば武士の情けというやつです。立場をこえた男の友情を、うまく表現していきたい」

* * *

このほどアマチプロゼに所属、芸名を改めた立花正太郎は、途中からレギュラー入り。
「ぼくのやる忠吉は、原作ではほんのわずか出てくるだけ。それがドラマでは第7話から最後まで登場。改名して心機一転、がんばります。天知茂さんには、晩飯に誘われたりして演技を教えてもらっているけど、なるべく2人きりにならないようにしているんです。なんとなく、まだ怖いんですよ」

* * *

雲霧軍団の情報係役をひょうひょうと演じている荒井注、
「この暑いのにヅラなんかつけて、さらに髪の毛が薄くなるんじゃないかと心配しているというのに、スタッフときたら、もうそれ以上ハゲないよなんていっている。これ、慰めなんでしょうかねえ」

★スタジオから★

人を殺さない仁左衛門
剣法に苦労


「迫力のある立ち回りは欠かせませんが、天知茂さんの注文はなるべく人を殺さず血を流さないようにという方法。そこで合計13回の放送で、人を殺すのは4回、それもよくよくのことでしかたなくです。
したがって、天知さんの殺陣はもっぱら峰打ち。しかし、明らかに峰打ちだとわかるような見え見えの方法ではなく、一瞬、本当に斬ったように思わせて、じつは峰打ちだったといったやり方で迫力をだしています。
また、仁左衛門は元武士という設定だから、当然剣法の型も、武士スタイル。やくざ剣法とは違います。どうかすると、侍でもやくざでも、やたらとぶった斬る立ち回りが目につきますが、侍には侍の型、やくざにはやくざの剣法がある。その違いがないのはおかしいわけで、それぞれ役の設定に応じた殺陣をつけるようにしています。
このドラマの場合、雲霧軍団側は仁左衛門以外はやくざ剣法、対する火付盗賊改め方は侍の剣法。まともに正面からぶつかれば、剣の修行を積んだ火盗改めのほうが強いはず。でも、それではおもしろくありませんので、やくざ剣法でも侍と対等にやり合えるように、くふうをこらしています。とはいっても、殺陣師の力はわずかに3分、あとの肉付けは役者さん。その点、このドラマのみなさん、うまく肉付けしてくれているので、殺陣師の私も安心して見ていられます」
(殺陣担当・安川勝人さん)

★これからのあらすじ★

第5話「松屋襲撃」7月31日(火)夜10:00放送
名古屋の豪商・松屋善兵衛の金を狙う雲霧一味だったが、山猫の三次が暁一味の福右衛門に金と女で籠絡されたことから火盗側に松屋掠奪の意図を知られてしまう。仁左衛門は火盗の裏をかいて松屋の金を奪ったが、金は5000両しかなかった。

第6話「裏切り者は消せ!」8月7日放送
松屋襲撃のあと、仁左衛門の気がかりは、味方に引き込んだ火盗改めの与力・岡田甚之助のことだった。仁左衛門の不安は的中、長官の安部式部が岡田の行動に目をつけていた。仁左衛門は、式部の先手を打って、岡田を斬るのだった。

*詳細な(写真もかなり付いている)番組ガイド。殺陣の違いなども分かって興味深い。しかし注さん、よりによってヅラ話ですか。

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| TVドラマ(時代劇)::雲霧仁左衛門 | 12:16 AM | comments (x) | trackback (x) |
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