2006,10,22, Sunday
#54「兇悪の傷痕」(1974年・S49・10月10日OA)
刑務所から二人の女――石川伸子(市原悦子)と江沢景子(江波杏子)――が脱走した。貧血を起こし倒れた伸子を病院に匿い、景子は伸子の弟・次郎と連絡を取るため彼のGFに繋ぎをつける。次郎は三者連続殺人事件の容疑者として逃亡中の身で、それを知った伸子は彼に一目会わんがために、景子の協力を得て脱走を図ったのだ。 伸子の病院を突き止めた会田(天知茂)は、丁度帰ってきた景子に拳銃を奪われ、逃走されそうになる。だが自分の拳銃を突きつけられても動じない会田はふてぶてしく言い放った。「ふっ、さすがの身のこなしだな・・・江沢刑事」そう、景子の正体は特捜部に所属されることになった敏腕刑事だったのである!(って、クレジットですでに「刑事」となっていたのでそれほど驚くことでもないのだが) 次郎との接触は景子=江沢刑事に任せ、伸子の口から弟の殺人動機を聞き出そうとする会田だったが、伸子は再び貧血で意識を失ってしまう。長崎生まれの彼女は、原爆による白血病を発症していた。会田の輸血によって持ち直した伸子は、彼もまた広島で原爆に遭い家族を亡くしたこと、ひとり生き残った姉も進駐軍に強姦され死亡したことを聞かされ、会田に真相を打ち明けた。 初めての発作が起こった時、彼女は不治の病に絶望し湖に身を投げたのだが、助けてくれたはずの4人のハンター達に輪姦された。それ以来自暴自棄になり、関係を迫ってきた会社の上司を殺して金を奪った伸子は、投獄前に弟に手紙を遺し、それを読んだ弟が、元凶のハンター達を次々に抹殺しているのだという。 残る最後の一人は今まさに挙式中であった。次郎が必ず現われると踏んだ会田は、医者の制止を振り切り、会場へ伸子を連れて行く。予想通りナイフを片手に乗り込んできた次郎は、特捜部と姉の言葉で復讐を思いとどまった。弟の胸の中で崩れ落ちた伸子は病院へ運ばれたが、そのまま息を引取る。 「噂どおりの非情な人ですね、会田さんって・・・(伸子姉弟に)最後の別れをさせるなんて」 ――でも一番非情なのは、29年前の原爆だわ。 景子の言葉に沈黙を返し、会田は病院を後にした――(昭和ブルースは1番) *(第1シリーズのことは分からないけど)会田刑事の過去、初登場? 伸子たち姉弟と自分の過去を重ねているかのような、そして伸子の病状にいつか自分にも訪れるかもしれない病への恐れを抱いているかのような、なんとも翳のある表情が数多く見られて切なかった。そうそう、これが想像してた会田さんだよ!(今回はひたすらカッコよかったのでツッコミなし) *とはいえ簡単に景子さんに拳銃を奪われちゃうのはトホホだが(ほんとに悪い人なら撃たれて死んでるよ!) *伸子がいわゆるナイスバディな美女ではなくて市原悦子さんなところがリアル。 *原爆投下が29年前というのも生々しい。
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス2 | 10:05 PM | comments (x) | trackback (x) | |