2007,01,08, Monday
『第三の影武者』(1963年・S38)
家老・篠村(金子信雄)にスカウトされ、軽い気持ちで城へやってきた杏之助(市川雷蔵)は城主・池本安高(雷蔵:二役)にそっくり。安高の三人目の影武者として、歩き方から怒鳴り方、女人の抱き方まで似せるよう、篠村から厳しいトレーニングを受けることになった。しかし安高が戦の最中に左眼を射抜かれると、三人の影武者たちもそれぞれ左眼を潰せと強要され(反抗した一人が斬殺)、間髪を入れずに城が急襲を受けた際には、身代わりに死ねと言われ(また一人死亡)、とうとう杏之助だけが手負いの安高と逃亡する羽目に。さらに右腕を失った安高を見て自分の行く末に恐怖を覚えた杏之助は、安高を殺してしまう。逃げ延びていた篠村は杏之助と落ち合うと、彼を半ば脅迫して安高として扱い、以前から婚儀の話が持ち上がっていた照姫(高千穂ひずる)のいる桜洞城へと向かった。 さてその桜洞城にて。 勢力拡大のため照姫との婚儀を急ぐ篠村に対し、まず城を襲った敵を倒してからですなとやんわりクギを刺したのが、高齢の城主を助ける若き参謀・三木定光(見た目も声も体温すらもぐぐっと冷えてそうな天知茂)。急いで城を奪回せんと戦を始めた杏之助=安高は、傷を負った篠村にこれ幸いとばかり止めを刺し、これで邪魔者はいなくなった・・・かにみえた。 城を取り戻し、意気揚々として照姫との初夜に臨もうとした杏之助=安高の寝所へ、定光が突如ずかずかと上がりこんできた。「お前の役目は終わったのだ、ニセモノめ」定光は瀕死の篠村が握り締めていたという“影の三”と記された幟を持ち出し、杏之助を糾弾(このあたり、犯人を追いつめる明智センセイ風でもある←井上梅次監督だし)、「本来であればノコギリ引きだが・・・」ある条件で命を救ってやろうと持ちかける。実はずっと前から照姫とデキていた定光は、杏之助には彼を慕う小萩(万里昌代)をあてがい、自分は照姫と夜を共にするからそのつもりでいろ、というのだ。 「昼の城主はお前で、夜のあるじは俺だ」 安高ではなく杏之助そのものを愛している小萩は、それでも構わない、静かに暮らしましょうと杏之助を諭すのだが、彼女に自分の子を身籠っていることを知らされた彼は、よせばいいのに定光&照姫の寝所へ駆け込み(さっきの自分を棚に上げて「なにを無粋な!」もないだろう>定光)、俺の子が殿になるんだ、俺は勝ったぞ!と朗らかに勝利宣言。だが定光は薄ら笑いを浮かべて、照姫も身籠っていることを告げるのだった。正室の子しか必要ないのだ、そう言うなり小萩を斬り捨てる定光(クールに鬼畜)。 杏之助は部屋を飛び出した。「俺は安高ではない、杏之助なんだ!」真実を語っても、もはや誰もそれを信じてくれようとはしない・・・・・・。 *物語自体が面白い上、最強の雷蔵キラーが出現する後半は見どころ山盛りだった。クレジット的には控えめな位置だったが、色悪ぶりが際立っていた天っちゃんにウットリだ(同じ年に薄幸浪人@『破れ傘長庵』もこなしていたとは恐れ入る) *監督だけでなく音楽も後の「美女シリーズ」の鏑木創。
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| 映画::大映with市川雷蔵 | 11:58 PM | comments (x) | trackback (x) | |