2006,12,31, Sunday
#31「兇悪の報酬」(1973年・S48・11月1日OA)
雨の夜、病院に担ぎ込まれる手負いの人物。会田(天知茂)である。左脇腹あたりを撃たれたらしいが、「俺は平気だ、村越は・・・?」と呟く気力はある(でも寝癖チックな髪の乱れ具合は尋常ではない)彼に心配そうに寄り添う同僚の鈴木刑事(梅津栄←絵的にかなり濃い)。で、その村越(浜田晃)とやらは「しっかりして、ムラ〜!」と恋人・牧子(光川環世)の必死の声に付き添われながら会田の直後に収容された。 ふたりは別々の手術室に運ばれたが、ジャンキーの村越には麻酔が効かず、苦しみ抜いて事切れた。半狂乱になり、会田が消えた第二手術室を睨みつける牧子。「殺してやるわ、会田を・・・!」 彼女の大事なムラは会田に撃たれたのだ。ヤクの売人である村越を救うために会田に協力を請われていたにも関わらず、土壇場で踏み切れなかったのは牧子の方なのだが(そして逃走の際に村越が先に会田を撃ったのだが)、完全にキレた彼女は吉田刑事(多々良純)の拳銃を奪って第二手術室に乱入、ジワジワと苦しみながら死ぬがいい!などと物騒に叫んで患者の麻酔管をぶっちぎった・・・! ・・・もっとも、ここで我々視聴者は「さっき会田を手術していた担当医が若返っている」、「看護婦や医者が何か言いたげだ」という事実に気づくのだが、思いつめた牧子、焦ってる吉田刑事、そして会田が撃たれたとの知らせを聞いて病院に急行、すわセンパイ(=師匠)の一大事と手術室に飛び込んでしまった無鉄砲な坂井刑事(宮口二朗)ら周りが見えなくなってる人たちは、その患者が会田だとしばらく信じ込んで攻防を繰り広げる。 後から来たオトナの四方刑事(葉山良二)が真相(=患者は会田とは別人)を知り、院長と偽って手術室へ入った頃にはようやく間違いに気づいた牧子だったが、5分以内に会田を連れて来い、さもなくば皆殺しよっ!とさらに過激な要求を突きつける。だがこの頃になると、牧子の身体に異常が見られるようになっていた。実は彼女も麻薬に侵されていたのだ。 一方、手術を無事終えて別室にいたスリーピング・ビューティー会田は、竜巻クリーニング夫妻(左とん平&小牧リサ)や院長が見守る中、ようやく麻酔から覚めた。目覚めるなり「とんでもないことになってるんすよ!」とタロさんや院長にデリカシーの欠片もなく事の次第を聞かされた会田、当然ながら「おめおめここで寝ているわけにはいかん・・・!」と無理やり起き上がって手術室へ向かうことに。(しかし『あんたのせいで無実の患者の命が』みたいな言い方をしておいて「どうしようというんですか、まだ傷口が」も何もないだろう院長。ここで牧子の言葉(5分以内に云々)を壁越しに聞いていたにも関わらず何も言わなかった(しかも会田が起きてきたとき、一瞬彼を引き止めた)鈴木刑事の株が急上昇。) そして一触即発だった手術室に、勝負服(=背広)に身をかためた会田が現われた。 「俺を待っていたらしいな」 入るなり患者や部屋の者を「俺に任せろ!」と下がらせ、牧子と対峙する。 殺す? 俺をか。君にそれができるのか! 救いを求めている君に・・・! これ(ヤク)が本当に君の救いなのか。 甘えるな! 自分を救えるのは自分しかいない。 こいつは、君の心を、身体を、そして本当の姿を、蝕んだだけだ。 その鏡を見るがいい。 それが君だ。その顔のどこに君の顔がある。人間らしさがある! (中略) こんなもの(ヤク)がなくても人は生きていける。愛していける。 舞台に立ったことのある君ならわかるはずだ、 自分を偽って生きることのつらさを・・・! 等々、傷のせいでさらに抑制の効いた低音ボイスで麻薬撲滅キャンペーンをひとしきり繰り広げたあと「これはここに置いていく。君の好きにするがいい」とモルヒネのアンプルを残して部屋を出る会田。やはり傷口が開いたらしく扉の側でヨレヨレになりつつも、飛び込もうとする四方刑事を制して彼女に時間を与える。しばらくして牧子は半狂乱で部屋から出てきた。「元の身体にして・・・!昔のあたしにして・・・!」モルヒネを打たなかった彼女に、会田は安堵するのだった。 ラストは更正施設で中毒症状と闘う牧子を無言で励ます会田でエンドマーク(昭和ブルースは1番)。 *他の番組と違って、オープニング(クレジット部分)からエンディングまでぎっしり中身が詰まってる両切りタバコみたいな「非情のライセンス」。今回は特にそれが濃厚で目が離せない。特捜の面々がそれぞれ活躍しているのは珍しかったが(個人的には矢部警視にも出てきてほしいところだったが)、残り10分の会田ワンマンショーが全てを超越してしまうあたりが凄かった。さすがだ! (脱いだら色白モチ肌なのになあ←それは関係ない)
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 12:08 AM | comments (x) | trackback (x) | |