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非情のライセンス 第1シリーズ #12
#12「兇悪の空」(1973年・S48・6月21日OA)

冒頭から会田(天知茂)がさりげなくマークしている男の名前は桐正人(佐藤允)、旅客機とテスト中の戦闘機が衝突、153人の命が犠牲になった事件で戦闘機の1機を操縦していた元テストパイロットである。事件は死亡したパイロット・香川の操縦ミスで片付けられたが、桐は会社が旅客機を仮想敵機とみなして計画を立てていたのを知っていた。その事情を知るが故に何者かに3か月もの間尾行され続けている桐は、競馬場に来ても賭けるわけでなく、彼を慕う香川の妹・晴美(奈美悦子)をも遠ざけ、過去の重さに押し潰されているかのような生活を送っていた。

会田が桐の尾行者・梅本(高島稔)に脅しをかけて追い払っている頃、桐はかつての同僚・和島(北真知史郎=現・北町嘉朗)と、テストパイロット会社の元社長・佐田(加賀邦男)の訪問を受けた。パイロットへの復帰を断られた彼らは、桐が持ち出した事件の際の飛行計画書を渡せとジワリと脅す。桐の身柄と共に飛行計画書を確保するのが会田の任務でもあったが、桐は会田にも計画書を渡そうとはしなかった。

警察の介入を恐れる佐田と平建設の光田(入江正徳)は会田抹殺に動く。平建設社員(26歳)だった梅本はリベンジとばかりに会田を拉致、古傷が残る左腕に注射器を突き刺してピストンを引っこ抜き失血を促すという実にマニアックな責め方でピンチに陥れるが、浴びせるはずの熱湯を浴びせられ撃沈。会田は何事もなかったように桐のアパートを訪れ、酔いつぶれて死にたがっている桐の臆病さを突くと「死にたければ本当に死んでみろ!」と重苦しい過去を乗り越えてきた彼らしい力技で説得、あとを晴美に任せて去る。

しかし帰宅するなり、晴美が誘拐されたとの桐からの電話が。二人でお台場に来いという指示に従う会田と桐だったが、晴美を連れて現れた和島たちに計画書の引き渡しを拒否、銃撃戦の最中に晴美を守って被弾した桐は会田に計画書の在り処を告げると「勝負はこれからだ」と呟いて事切れた。

「大物はいつも姿を見せない…!」
テストパイロットの会社は壊滅したが、せっかくの桐の書類は上層部の判断で秘密裏に処理されてしまったことに空しさを覚える会田。だが、死んだ桐のアパートで暮らすことを選んだ晴美(「女というものは、一度見た夢をいつまでも見続けられることだってありますわ」)に女の強さを見る。
(見えない鎖が重い昭和ブルース4番をバックに、道行く人々を車中から眺める会田)
――この中に、第二第三の桐が、香川が、そして佐田も、和島も光田もいる。
羊と狼が一緒にいるようなものだ――。


*大きな悪はうやむやになってしまったようで後味が悪いが、それよりなにより本筋に関係ないシーンがやたらと印象に残ってしまう話だった(梅本……)。

*会田の拳銃のさばき方(クルクルッと回してから収めたり)も印象的ではある。

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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 11:25 PM | comments (x) | trackback (x) |
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