2009,09,02, Wednesday
#32「兇悪の指」(1973年・S48・11月8日OA)
排水汚染ろ過装置の設計図を3人組の暴力スリ団に盗まれて落ち込む研究員・守口(上田忠好)。スリ組織のボスと見られる山根(藤岡重慶)の事務所付近で痛む足をさすりつつ地道な張り込みを続ける吉田刑事(多々良純)は、企業スパイの線から捜査に割り込んできた会田(天知茂)に少々おかんむりの様子である。 そんな折、会田は守口の住まいの近くで少年(=夫婦喧嘩のとばっちりを受けた守口の息子)を慰める老ハコ師の関根勘市(有島一郎)に遭遇した。設計図を盗んだスリの一人、前川(三角八郎)に接近、わざとボコられ強請られて組織に近づこうとしている彼の真意を会田は図りかねる。 山根を雇い設計図を奪わせたのは、ライバル会社の佐々(佐々木功)だった。ところが山根が報酬金を吊り上げ出したために、佐々に命じた当の部長(加賀邦男)は渋い顔、「私は暴力スリを使えといった覚えはないよ」と佐々に依願退職を勧め、結果的に彼を投身自殺に追いやってしまった。 新しい金づると取引を始めようとする山根の行動を探る勘市の前に、再び会田が姿を現した。観念したように勘市は打ち明けた。守口の妻・由紀(青柳三枝子)は幼い頃養女に出した実の娘だから、彼女や孫のためにも自分が設計図を取り返したいのだ、と。会田は死に花を咲かせたいという彼の訴えにあえて耳を貸さず、手を引けと命じる。 しかし本庁に戻った会田に吉田は衝撃的な事実を告げた。「あいつの娘は死んでるはずだよ」 由紀は、勘市の娘が病死した後で産まれた養子先の実子だったのだ。何も知らないまま、勘市は取引現場で山根の書類を奪い、非常階段でもみ合った拍子に地面に落下。来ていることを知りながら見逃してくれた会田に「死に花を咲かせてくれたんですね」とほほ笑んだ勘市は「娘さんが喜ぶぜ」との言葉に安心したように息を引き取った。 設計図が戻って幸せいっぱいの守口一家。協力してくれた男(=勘市)の埋葬につきあってくれないか、そう切り出した会田に由紀は言う。「あら困ったわ、これから箱根に行きますの。帰ったらお墓に参らせてもらいます」 佐々の上司は関与を否定して会社にはお咎めなし、佐々の身重の妻は流産したという。 ――世の中ってこんなもんだよ。 吉田の呟きを背中で重く受け止めながら、去りゆく車を見送る会田だった(昭和ブルースは4番) *最後の一捻りがなんとも非ライ的。でも知らされずに逝ったから勘市っつぁんは幸せか。 *前川を取調室に押し込み、無言を貫いて相手をびびらせた会田がカッコいい。
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| TVドラマ(現代劇)::非情のライセンス1 | 11:24 PM | comments (x) | trackback (x) | |