2009,08,14, Friday
『叛乱』(1954年・S29)
ニ・ニ六事件の顛末を、首謀した青年将校たちの熱情やその弊害などを絡めて描いた渋い作品。 クーデターを声高に叫ぶ栗原中尉(小笠原弘)たちとは違い、任された兵たちのことを思い逡巡しまくった安藤大尉(細川俊夫)。だがいったん決意してからは誰よりもやる気マンマン、事件後、叛乱軍として討伐されることになり、撤退する将校も増えてきた中でもひとりで気を吐いていたのだが、とうとう自分の兵たちの解放を決意する……というラスト近くで登場するのがおそらくノンクレジットの天知茂。 占拠した山王ホテルの庭で、撤退を告げる安藤の言葉を聞く兵士たち。一番手前になにやら日本人離れした鼻筋の兄さんがいる。アップになると微妙に別人っぽく見えたりもするのだが(相対的にふっくらしているせいか?)、涙を流しながら歌う彼らの声を背に部屋に入り、ピストル片手に自殺を図ろうとして仲間に止められた安藤に「中隊長どの、死なないで下さい!」と真っ先に必死に訴える右端の人物はどうもそうらしかった。 公開は1954年1月。主演デビューはおろか、まだ虫も喰ってない頃(『潜水艦ろ号未だ浮上せず』参照)だけに微々たる出番が辛いが、それもあと数か月の我慢だ天っちゃん! *『ろ号』といい『トラン・ブーラン』といい、同期の小笠原弘さんがスパークしていた年でもある。しかしこの作品であれだけ目立っていたにも関わらず、goo映画などではクレジットが完全に抜け落ちているのは謎。 *鶴田浩二さんがいたり新国劇の両巨頭がいたり、出演者がかなり豪華。しかも監督は、途中交代したとはいえ佐分利信!(←実はけっこう好き)
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| 映画::新東宝 | 10:52 PM | comments (x) | trackback (x) | |