天知茂と五社英雄監督がプロ設立週刊TVガイド : 1965(S40)7月30日号:34歳
88レポート
天知茂と五社英雄監督がプロ設立
テレビや映画で活躍している天知茂がプロダクションを設立、さきごろフジテレビを退社してフリーになった五社英雄氏と組んでテレビ映画を制作するそうだ。
制作するのは「無宿侍」という連続時代劇。五社氏が企画し、メガホンをとる予定だが、この映画は「逃亡者」の時代劇版といったもので、内容は追われ追われて旅をつづける浪人が、行くさきざきでいろいろな事件の渦中にまきこまれるという設定。そしてある時は椿三十郎、またある時は眠狂四郎的なドラマで天知は主演するわけだが、とりあえず、テレビのCMフィルムの制作から手をつけ、プロダクションが軌道にのったところでテレビ映画を制作しようという遠大な構想。
「道楽でプロを作るのではなく、あくまで企業なんですから、営業が成り立たなければなんにもならない。だから、スタートはもうけることが第一。そして軌道にのったところで、日ごろやりたいと思っていたことをする。これがボクの信条です」というのが天知の弁。
*天知プロ設立ニュースは7月23日号に「このほど中田プロをはなれて天知茂事務所を設立」との初報あり(アパート住所までちゃんと載っている←ちなみに新宿区)。「無宿侍」の原案の話は4月6日付の記事にもあったので、主役を探していた五社さんがちょうど独立した天っちゃんに声をかけたのかもしれない。
*「テレビの実力者100人」の男性タレント部門で7番目に名前があがっていて(“コツコツと地盤作り、天知茂”というキャプションつき)「新東宝系の実力者でもあるね。コツコツとよく苦労して地盤を作り上げたよ。安井昌二がよきパパになっちゃったのにくらべると、元気があっていい」などというコメントをもらっていたのも頷けるほど地道な設立の弁である。ところでテレビのCMフィルムの制作、どんなのを手掛けていたのか気になる。
*だがあまりにコツコツしすぎたのか、「無宿侍」がOAされるのは8年も後。
(2009年10月11日)