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むかし悪役いま神風タレント週刊朝日 : 1964(S39)3月13日号:33歳
むかし悪役いま神風タレント
テレビ「孤独の賭け」で人気上昇の天知茂

「孤独の賭け」(NET金曜夜10時)のニヒルな社長ぶりが、中年のマダム層に受けて、このところマダム・キラーの評判が高い。

その演技が作家の黒岩重吾氏にも買われて、4月放送の新番組「廃虚の唇」(NET)の主役に再び抜擢された。新東宝時代からの苦労がようやくむくわれたといってよいだろう。映画時代はギャング役ばかり。そのため、「テレビに出演し始めた3年ほど前は、まだ悪役のイメージが続いていて、与えられる役はヤクザくさいのが大部分でした」と苦笑する。やっと、そのイメージが消えかけたと思ったら、旧作映画の放出で、深夜劇場に、悪役天知がリバイバルした。
「演技もへたくそで、おはずかしいシロモノですが、個人的にはなつかしいですね。ちょうど古いアルバムをめくるように……」

いま出演中のテレビは「孤独の賭け」のほか、フジの「次郎長三国志」(水曜夜9時45分)と「虎の子作戦」(月曜夜10時15分)の3本。睡眠は平均4時間と、相当な神風ぶり。
「しかも『虎の子作戦』は関西テレビ制作なので、1週間おきに大阪へ飛んで、2本ずつとってくるんです。自分でも出過ぎだと思うし、3月いっぱいで『孤独』と『虎の子』が終わるので4月からは2本にしぼるつもりです」

テレビ俳優はちょっと有名になると映画に出演したがるものだが、その点、天知は少し変わっている。
「テレビだけは大事にしたいのです。連続ドラマを2本というのが私の希望で、1本はシリアス(まじめ)なもの、もう1つはコミカルなもの、とにかく小さくかたまりたくない」
「孤独の賭け」と「廃虚の唇」が前者、「虎の子作戦」と「次郎長三国志」が後者で、しかも現代劇と時代劇。おなじ傾向のものは1つもない。つまり計算した“神風出演”ということらしい。
「4月から『廃虚の唇』と『次郎長三国志』の2本になれば、私としては理想的です」

2月末の「虎の子作戦」では脚本も自分で書いて自作自演した。天知株、まだまだあがりそうである。(河地四郎)

【写真キャプション】
・「テレビだけは大事にしたい」(煙草片手にちょっとワル顔の横目の天っちゃんのアップ)

*人気急上昇中の頃の記事。「虎の子作戦」(たしかミスター・シャネル役)で脚本を書いていたという話は初耳だった。番組残ってないんだろうか・・・。

(2008年1月15日)
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